CHROインタビュー①:人事キャリアの転換点―IPOを支えた戦略人事と年収1.8倍の決断

キャリア事例

リード

A氏は、大手企業で人事キャリアをスタートし、途中経営企画や新規事業開発経験を経て、ITベンチャーでの人事責任者(HRBP部門)に就任。現在は別のITベンチャーのCHROとしてIPO準備と組織変革を主導している。なぜ安定した大企業を離れたのか。どのようにCHROに就任したのか。そして年収はどのように変化したのか。人事キャリアの転換点を詳しく聞いた。

プロフィール

氏名: A氏
現職: ITベンチャー企業にて執行役員CHRO
経歴:
・大手メーカーにて採用、制度設計を担当後、経営企画や事業開発を経験
・SaaS企業で人事責任者を経験
・2022年より現職、CHRO就任


キャリアの流れ|安定から挑戦へ

新卒で入社した大手メーカーでは、評価制度設計と採用業務を担当。30歳までに制度設計〜改定を2度経験し、社内では「人事の専門家」として評価された。

しかし、33歳のときに違和感を覚える。

「制度を整えても、会社の成長には直接触れていない感覚がありました。」

そこでSaaSベンチャーへ転職。HRBPとして事業部に入り、採用だけでなく、売上計画に連動した組織設計を担当した。

この経験が最大の転換点だったという。

「初めてPLを本気で見ました。人件費率と粗利の関係を理解して、ようやく“経営と人事がつながった”感覚がありました。」


CHROとしての役割|IPOを見据えた人事戦略

現在所属する企業の従業員150名、IPO準備中のSaaS企業。田中氏は2022年にCHROとして参画した。

就任前の年収は約1,000万円。
就任後は1,500万円+ストックオプション。

決断理由は明確だった。

  • 経営陣が人事を投資と捉えていた

  • IPOを本気で目指していた

  • 組織課題が明確だった

現在の取り組みは大きく3つ。

① 採用戦略の再設計

エンジニア採用単価を30%削減。

② エンゲージメント改善

離職率を18%→9%へ。

③ 人的資本開示対応

人的資本経営の潮流に沿い、開示指標を整備。制度背景には金融庁による開示義務化がある。


どのようにCHROになったのか

きっかけは、現CEOからの直接オファーだった。

「人事責任者ではなく、経営陣として入ってほしいと言われました。」

ただし迷いもあった。

  • IPO失敗リスク

  • 役員としての責任

  • 年齢(当時37歳)

最終的な決断基準は3つ。

  1. CEOと財務の会話ができるか

  2. 事業成長率が年30%以上あるか

  3. 人事に裁量があるか

「年収よりも、どこまで経営に入れるかを基準にしました。」


CHROになるために学ぶべきこと

田中氏は即答する。

① 財務理解(最低限PLは読めること)

「ROICと人件費の関係を説明できないと、経営会議では発言できません。」

② 事業責任経験

HRBPとして数字を持った経験が評価された。

③ グローバル視点

外資系の報酬設計を研究した経験が役立ったという。


CHROを目指す人へ

最後に、これからCHROを目指す人事担当者へメッセージを求めた。

「人事は“管理部門”ではありません。企業価値を上げる投資機能です。」

「年収を上げたいなら、制度設計よりも事業責任を取りに行くべきです。」


編集後記

田中氏の言葉から感じたのは、肩書きよりも“覚悟”だった。CHROとは人事の延長ではなく、経営の当事者なのだと強く印象づけられた。

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